歴史刻む2自治寮 此春寮 伝統の灯守る

投稿者: | 2018年5月28日

今出川キャンパスから徒歩数分。相国寺の塀に沿って北へ進み最初のT字路を右に曲がって少し行くと突然レンガ積みの壁と鉄の門が現れる。奥には白いコンクリート造りの建物がたたずむ。此春寮だ。

歴史は古く、1940年にまでさかのぼる。かつては、神学部寮であり、牧師を志す学生たちが、学問の傍ら、集団で信仰生活を営む。現在でも集会用の大きな部屋はチャペルと呼ばれる。

学生運動の動乱を経ていつの間にか他学部の学生も住み始めた。その過程で大学ではなく学生自ら、寮の方針を決定し、問題を話し合って解決する「自治寮」となり、現在まで続いている。

とはいえ、寮監がおらず門限がない、といったことを除いて自治を実感する機会は多いとは言えないのが現状だ。

寮母をはじめ様々な人に世話になっていることもあり、大学と真っ向から対立したかつての姿は無い。時代の流れというものを感じる。しかし、寮の決めごとに関して学生全員で採決を取る姿勢は変わっていない。会議が深夜に及ぶこともあった。学生運動の残り香のごくわずか、最後の残滓のようなものが現在に継承されている。

もし大学の近くで路地に迷い込み、この建物を見かけたら本学学生の歴史に思いをはせてほしい。    【湯川哲至】