〔新入生向け〕飛べ、自分色の未来へ!「周りと違う」怖さ克服

投稿者: | 2018年3月31日

きょうから、新しい生活が始まる。

全国から集まった学生と出会い、自分の知らない世界に圧倒される。故郷から遠く離れた京都の地で、「周りと違う」自分に自信を持てない日もあるかもしれない。昨年のミスキャンパス同志社ファイナリスト・渡邉美乙織(経済・4)さんも、かつて同じ悩みを抱えていた。

渡邉美乙織(ヴィオラ)さん

鮮やかな緑のコートに身を包み、舞台をランウェイに見立てて悠然と歩く。これまでに学生主催のファッションショーに出演した経験もあり、堂々とした立ち振る舞いが会場の目を釘付けにする。「自分らしさとは何か」、考え続けた半年の集大成を、最後のアピール時間5分にぶつけた。

昨年11月に行われたファイナルイベント。「周りと違うこと」に悩み、「自分らしさ」を貫いた大会が幕を開けた。

もともとミスキャンパスに参加するつもりはなかった。昨年春のある日、大学構内で運営スタッフの一人に声をかけられたのがきっかけだ。大学生活で何かの機会になればと、軽い気持ちでエントリーしてみた。

面接選考に臨むと、他の候補者たちの本気の自己アピールに圧倒された。「将来アナウンサーになりたいから」「周りのいろんな友達に推されて、自信が出たから」。誇りに満ちた声が飛ぶ中、一人「スタッフに声をかけられたから」と答えた。

ああ落ちた、と思った。数日後、ファイナリストへの入選を告げられた時は信じられなかった。

どうしてファイナリストに選ばれたのか、今でもわからない。ただ、大会のテーマ「飛べ、あなた色の未来へ」にちなんで、「これまでの大会では珍しい候補者だから、『自分の色』を持っているように見えたのではないか」。

1996年、イタリア・フィレンツェで日本人の両親の間に生まれた。父の仕事の関係で、幼少期は家族と共にローマで暮らした。

現地の小学校に入ると、周りの西洋人とは異なる見た目をからかわれた。毎日イタリア語を話し、イタリア人の子供と同じように育ってきた身としてはショックだった。

「私はなに人なんだろう」。両親は日本人で、姿も日本人。しかし日本で暮らしたことはなく、日本語を話すこともできない。一人で思い悩むことが多い幼少期を過ごした。

7歳の時、母親と日本へ渡ることが決まった。夏休み直前の小学校へ体験入学を果たし、同じ容姿の人たちに囲まれた生活を送り始めると、日本人としての自覚が日増しに強くなった。「将来は日本で暮らし、日本で働く」。日本人として人生を歩むことを決意した。

3年後、10歳で再び父のいるローマに戻った。今度はイタリア人の友人と交流しつつも、日本人学校へ通い、日本語を話し、日本人に囲まれた環境で過ごした。それから同志社国際高校入学のために16歳で日本へ帰るまで、合計12年をイタリアで暮らした。高校卒業後は内部生として本学に入学し、今に至る。

輝きだした「自分らしさ」

5月、6名のファイナリストが集まり、最初の撮影が行われた。ほかの5名が栗色の髪をやさしく巻き上げた「かわいらしい」姿でフラッシュを浴びる中、一人だけ黒髪で写真に写った。全員でそろえた白いワンピースも、色鮮やかな服を好む自分には、うまく着こなすことができなかった。

ファイナリストに残った方たち(左から) 渡邉さん、久保さん、今川さん、住吉さん、森さん、杉浦さん (提供:ミスキャンパス同志社2017)

学生の間で一般的なSNSもほとんど使ったことがなく、うまく活動を発信できない。生い立ちも名前も珍しく「周りと違う」。小学生の頃と同じ不安をおぼえた。

転機になったのは、夏休みのイタリア旅行だった。久しぶりに訪れた故郷で、現地の友人たちと2週間を共にした。大会での悩みを話し、6名の写真を見せた。意外な言葉が返ってきた。

「ヴィオラが一番自分らしいよ」。

イタリア人は、誰かと「かぶる」ことを好まない。中学生から化粧をし始め、高校には私服で通う。「ほかの人と違うものを持っているのは、むしろラッキーなことじゃない?」友人の励みをきっかけに、活動のスタイルは大きく変わった。

日本とイタリア、両方の感覚を持っているのは自分だけ。ほかの出場者に合わせて、かわいらしい穏やかな色の服を着るのは、もうやめた。黒やヒョウ柄、ビビッドカラーといった好みの衣装に身を包み、時にはイタリア語でSNSのメッセージを書いた。

ファイナルイベントでは、「自分らしい」衣装を披露

本当の「自分らしさ」を発信し始めると、応援してくれる人がどんどん増えていった。「あなただから、イイ!」。大学でファンに声をかけられることも多くなり、素直に嬉しかった。

自分らしさとは何か、自問を繰り返した半年。グランプリこそ逃したものの、自分の殻を破り、自分の視野をさらに広げることのできた大会だった。全ては昨春のある日、偶然スカウトに応じたことから始まった。

「まずはチャレンジすること。学生の今しかできない経験から、新しい世界が拓けてくるかもしれない」。「周りと違う」怖さを「自分らしさ」に変えた先輩から、新入生へのアドバイスだ。

さあきょうから、あなたの大学生活が始まる。飛べ、「自分色」の未来へ。

【銘苅拓也】