〔紫風〕第104号

投稿者: | 2017年11月22日

寒さで身を震わすのはいいが、恐怖では震えたくない。星新一の『処刑』の中で、主人公は水のない星に送られ、スイッチを押すと水が出る「銀の玉」を渡される。この玉は何回かスイッチを押すと爆発してしまう爆弾でもあった。だが主人公は水を得るために、いつ爆発するとも知れぬ玉のスイッチを押す。

現実では、「いつ」爆発するかだけは予想がつく。11月、京都市の京阪電鉄三条駅に「1時間後に爆破する」と電話があった。幸い不審物は発見されず、電話主も逮捕された▼爆弾といえば、北朝鮮でも動きがあったようだ。北朝鮮分析サイト「38ノース」は、核実験場に機材などが集められているという分析結果を発表した。新たな核実験の準備の可能性が高い。

SNS上の反応を見ると、「爆弾の恐怖」を感じていない人が多いようだ。だが、爆破予告やJアラートを笑っているようでは、「平和ボケ」という批判はまぬがれない。

「死は、いつかは分からないし、確実に来る。それは地球にいても変わらないのだ」物語の最後、悟りに達した主人公は銀の玉のスイッチを何度も押し、バスタブに水を張る。若くして「ボケた」わが身では、これほどの覚悟はできそうもない。            【細田純也】