受験知識も役に立つ 歌舞伎をもっと楽しもう(2017年4月)

投稿者: | 2017年4月1日

 大学生活には自由な時間が多い。そのため、新入生はアルバイトやサークル活動など、初めて経験することが多くあるだろう。しかし、新しい経験だけでなく、受験で得た知識も大切にしてほしい。そこで本記事では日本史の知識を生かせばより楽しめる歌舞伎の演目を紹介する。

 「祇園祭礼信仰記~金閣寺」という演目がある。時は戦国時代、小田春永と敵対した松永大膳久秀は足利13代将軍義輝を殺し、将軍の母である慶寿院を金閣寺の2階に幽閉し金閣寺に立てこもる。そこに慶寿院を助けるために小田側の家臣真柴久吉は此下東吉と名乗りやってくる。しかし、そこにはもう一人の人質がいた。雪舟の孫娘、雪姫である。こののち物語は雪姫の救済を中心に展開する。

 物語の登場人物名に近い歴史上の人物がいると気づいたかもしれない。小田春永は織田信長、松永大膳久秀は三好長慶の家臣松永久秀にあたる。また此下東吉は木下藤吉郎、真柴久吉は羽柴秀吉であり、共に後の豊臣秀吉にあたる。これらは歌舞伎の古典「時代物」演目に特有の脚色だ。江戸時代の武家社会では、幕府が事件や人名をそのまま織り込むことを禁じていた背景がある。

 このように歌舞伎の内容を歴史的事実と照らし合わせてみるとおもしろい。歴史上での久秀は後に信長の家臣となるが、幾度か信長に対し謀反を起こしている。これは歌舞伎上での大膳と春永の敵対している関係とリンクする。

 知識があることでより豊かな経験ができる。新入生のみなさんも受験勉強で得た知識をもとにいろんな地へ足を運んでほしい。   

【藤原慧実】