〔紫風〕 第100号

投稿者: | 2017年4月1日

 俳人・正岡子規は東大を中退する際、友人にこんな手紙を送った。「小生遂に大失敗を招き候。可賀可弔(賀すべし弔すべし)」。試験勉強のために机へ向かえば、次々と俳句が思い浮かんでちっとも身が入らない。学問を捨てて新たな一歩を踏み出す決心に、悲喜の思いが入り混じる。

良いのかどうかわかりかねるが、思わぬところに活路を見出すことはある。小欄はちょうど1年前、親の期待に応えられないまま入学したことを後悔し、辞めることばかり考えていた。しかし偶然入ったこのサークルで本紙の原稿に朱筆を入れていたとき、先輩にかけられた一言で吹っ切れる。「君は校正がうまいから、これからも続けて」。道が開けた。

納得の原稿を書き上げるため、用紙をペンで引っ掻き回す。記事の仕上げは地道な作業だ。「人は、書くことと、消すことで、書いている。」トンボ鉛筆の名コピーを思い出す。人生も同じかもしれない。なりたい自分を思い描き、挑戦しては挫折して、少しずつ理想へ近付いていく。3歩進んで2歩下がる。その繰り返しが、明日の自分を作り、未来の自分を創るのだろう。

きょうから始まる大学生活は想像以上に泥臭い。ある日突然勉強が得意になったり、アルバイトで大金を稼いだり、次々と異性が寄ってきたりすることなどありえない。無力感に打ちひしがれながらわずかな成長を噛みしめる毎日だ。だが、苦くて甘い青春を紙面に残すもまた一興。共感する方、一報を。

新たな日々を迎えるあなたへ。賀すべきか、弔すべきか。ようこそ同志社へ。

【銘苅拓也】