『香港自治』 ~「香港の終焉」危機再び 脅かされる自治と民主主義~

投稿者: | 2017年3月18日

 香港は1997年までは、イギリス領だった。当時、メディアは中国共産党に統治権が戻ることを「香港の終焉」と称した。資本主義的政策でアジア一の国際金融センターとなった香港は、社会主義的政策を推進する共産党による束縛を受け、没落すると誰もが予想した。

 現実は違った。返還から20年経過したが、未だに国際金融の中心地であり、植民地時代に成立した選挙制度・議会も残っている。これは香港に高度な自治を認める「一国二制度」が機能した結果だ。だが、2047年にこの制度も終了することが法律により決定している。次なる「終焉」に対し、香港は揺れ動いている。

 14年、行政長官の立候補者は、共産党の影響下にある指名委員会に認可されなければならないという条件で、選挙が実施されることになった。言い換えると、民主化を掲げる人物は、香港の長になる権利がないということになる。香港の自治を定めた「香港基本法」の解釈・改正権は共産党に認められており、民主化の程度は共産党がコントロールできることになっているため、このようなことが起こりえた。これに「普通選挙」を求める市民が反発。中心地を座り込みによって占拠する「雨傘運動」が展開された。このことは世界に発信され、民主化抑制の動きに抵抗する市民の姿は衝撃を与えた。

 この運動に対し、共産党が軍事介入を行わなかったのは香港の自由市場としての価値を優先したからだといわれる。しかし、中国本土の経済成長もあり、中国経済における香港の優位性は落ちつつある。今後、同様な事態が発生した場合にどうなるか、香港市民・共産党双方の動きが注目される。            

【髙橋 翼】

華やかな街の裏に共産党の影