B・ディラン ノーベル賞受賞 文学を再考する

投稿者: | 2016年12月16日

b%e3%83%87%e3%82%a3%e3%83%a9%e3%83%b32016年10月13日に、アメリカのミュージシャン、ボブ・ディランへのノーベル文学賞の授与が発表された。彼は発表からしばらく沈黙を守っていたが、同月28日に授賞を受け入れると公表した。ディランは、世界のポピュラー音楽界はもとより、現代社会全体にも多大な影響を与えたミュージシャンとして一般に認められている。同賞をミュージシャンが受賞するのは初めてのことである。なぜミュージシャンである彼が文学賞を受賞することになったのだろうか。

日本ではあまり活発ではなかったが、1970年代から彼の歌詞はさまざまな批評家や研究家によって取り上げられ、その詩的な性格が評価されてきた。文学の定義ははっきりと定まってはいない。狭義では「文字で書かれたものに限られる」といえるし、広義では「文字で書かれたものとそれに付随するもの」ともいえる。

一般には狭義の文学がとられがちであるが、今回のノーベル文学賞は、広義の文学に則って選出したと考えられる。これは先例のないことである。この受賞はディランを一人の偉大なミュージシャンとしてではなく、一人の詩人としてとらえるかっこうの契機であろう。この機会に、彼の文学としての音楽に魅了されてみては。【笠井貴晶】