文化庁 移転決定 京から始まる地方創生

投稿者: | 2016年10月9日

清水寺のような世界文化遺産をはじめ、さまざまな寺社仏閣や歴史的建造物が存在する京都。まさに日本文化の象徴的意味合いをもつこの都市へ、現在、文化庁の移転計画が進められている。移転により、文化にかかわる産業や観光の振興を促し、世界に向けた日本文化の発信力の向上を目指すことが主な目的となる。

2015年3月に政府は、中央省庁の地方移転の誘致を開始。関西には国宝の約5割、重要文化財の約4割が集積しているとして、8月、京都府と京都市が文化庁移転を提案した。それ以降、16年7月に実証実験を行い、8月に先行移転として京都に「地域文化創生本部」が設置されるなど計画が進められている。京都側は20年までの全面移転を目指す。

文化庁の移転は地方創生の一環であり、東京一極集中を是正する狙いもある。だが、実際には移転がどのように地方の活性化に結び付くのかははっきりとしない。文化庁のこれまで通りの仕事をすべて京都中心で行うことができるのかという疑問も浮かびあがる。文化財に関係することだけではなく、音楽や美術などの芸術の振興、著作権の保護、宗教法人の認証なども文化庁の重要な役割である。とりわけ芸術分野の業務は東京への集中が激しく、連携は必須。演奏会や展覧会などは東京で行われることが多く、文化・芸術団体は首都圏に集中しているからだ。さらに、他省庁との連携が取りづらくなることも懸念事項の一つ。日本文化の発信力向上を目指すのであれば、これまで以上の連携が求められるであろう。課題は山積みだ。

文化庁の京都移転は地方創生の試金石だ。文化庁の移転と同時に構想されていた、徳島に消費者庁、和歌山に総務省統計局が移転する計画は、現在進んでおらず、移転の可否決定は3年後に先送りされている。文化庁の移転が成功をおさめれば、他の地方の活性化に向けた動きも加速するだろう。移転後の将来像を明確に見据え、計画は慎重に進められるべきだ。【本田恵梨】